おしらせ

オフロード車(特定特殊自動車)の排出ガス規制について

オフロード車両のエミッション規制

1990年以降オンロード車両のエミッション規制が広く行きわたり、継続的な規制強化につれて許容エミッションレベルは着実に下がりつつあります。
道路を走るオンロード車両の試験は、車両のタイプ毎に標準化されたドライブサイクルにしたがって行われます-例えば乗用車に対して日本は10・15モードや11モード、欧州のNEDCサイクルや米国のFTP72/75サイクル、あるいは米国の大型ディーゼル車はFTPのトランジェントサイクルにしたがった試験を行っています。今後これらの試験モードは、過渡モードへと変わっていくことが想定されます。

   

 

欧米の現状

オフロード機器はハンドヘルドタイプの小型ガソリンエンジンツール(SORE)から、大型建設機械までと幅広い製品構成となっています。欧州と米国の規制は、ディーゼルエンジンを動力源とするオフロード車両から排出されるエミッション規制に対し、同じドライブサイクルを適用しています。オフロード車両のトランジェントサイクル(NRTC)は広範にわたるエンジン出力を考慮してデザインされ、法令ではCO、HC、NOxおよびPM(粒子状物質)等の成分が規制対象となっています。

 

日本の現状

平成22年3月(2010/3)付けで環境省・経済産業省・国土交通省により、「平成22年特定特殊自動車排出ガス規則等に関する法律施行規則等一部改正について」の告知があり、「軽油を燃料とするオフロード特殊自動車の排出ガス規制が強化されます。」という内容が既に通達されています。
この改正では、軽油を燃料とするオフロード特殊自動車について排出ガス規制が強化され、PMの排出量が9割削減される内容となっています。これは一般自動車の排出ガス規制が進んだことを受けて、特殊自動車の排出ガス規制も段階的に進めることになったものです。
改正内容には「排出ガス新試験モードの追加」が盛り込まれ、ディーゼル特殊自動車の排出ガス試験として、現行の定常モード試験(8モード法)に加えて、今後採用が想定される排気後処理装置の効果を適切に評価できるよう、世界統一基準に規定されている過渡試験モード(NRTCモード)を追加しています。
またPM以外のガス状エミッション(CO、 NMHC、 NOxおよび黒煙)も、エンジンの出力別に段階的な規制強化の対象となっています。
環境省関連サイト(特定特殊自動車排出ガス規制法について、平成22年規制強化時パンフレット 1/2、 2/2):http://www.env.go.jp/air/car/tokutei_law.html

 

エミッション研究と法規制

NRTCサイクルは他のオンロードテストのドライブサイクルや認証試験と較べ、極めて過酷なトランジェントサイクルとなっています。そのため、エンジンの開発やキャリブレーションに携わる方々へ大きな難題を突きつけているのが現状です。定常状態の運転条件で低エミッションとなるようエンジンを適正化することは、様々なエンジン回転数や負荷のかかる条件で大量のエミッションデータをとることになり、エミッションの規制値に対して最小値となるブーストや燃料噴射のタイミング、および噴射量等のパラメータ類を調整することになります。 CO、HC、NOxおよびPMを同時削減する必要性は相容れないことであり、そのため、実際に行われる作業はエンジンの最適化がひとつの方法となっています。例えば、粒子状物質であるPMエミッションは、燃焼時の酸素を増やして(煤による微粒子を更に酸化して)削減することもあります。このようにすると燃焼温度と圧力のピークを高め、結果としてNOx濃度が急激に増大することになります。DPFのような後処理による解決方法はテールパイプのPM削減に大きく寄与し、NOxを処理するには大量のEGRを行いますが、キャリブレーションの問題と同様コスト高の要因となります。

 

DMS500を用いたNRTCモード運転による計測例




 

従来のエミッション計測

テストサイクルのトランジェント部分がサイクル全体のエミッションに寄与するのは、 NEDCのような他のドライブサイクルと較べ、とりわけNRTCでは極めて重要となります。これには2つの理由があります-NRTCサイクルの主要な部分はトランジェント運転であり、またこれらのトランジェントはNEDCと比較してシャープで、より活動的なパターンとなっています。 NRTCの最適化には、トランジェント運転を無視する余裕はありません。
ガス状成分のエミッション計測に用いる従来のアナライザには約1秒の応答性があります。これらのアナライザは定常状態のエンジンから排出される瞬時エミッションの精度や分解能を備え、エミッションの最適化を行うフィードバック用としても利用することができます。しかしトランジェント状態における瞬時濃度は、測定器の応答性を超えることがあります。正しいサイクルエミッションが測定できたとしても、これらの結果には高濃度エミッションに対応する正確なエンジン条件についての情報が欠落します。したがってこのようなアナライザはエンジン開発や、トランジェント状態での最適化を見出すキャリブレーションの効率的なガイドツールとはなり得ません。
エミッション粒子は重量計測を基本に規制されています-排ガス流量の分流によって濾紙に堆積した試験前後の重量計測となっています。この手法は本質的にオフラインで行われるため、エミッションの改善に必要となる車速/負荷マップ等の部分的なところに関する情報は何もありません。

 

超高速応答エミッションガスアナライザ

Cambustionは1987年以来、超高速応答ガスアナライザの販売を開始し、これらの製品は現在でも全世界のエンジンテストベンチで広く使われています。これらのガスアナライザは標準的な計測手法として使われていますが、とりわけHC、 NOxおよびCO/CO2の計測についてはT(90-10%)をミリ秒単位の応答性で計測する能力を有しています。
トランジェント運転状態のエミッション濃度を高精度のみならず超高速応答で計測しますが、エンジンのファイアリング1サイクルに対する情報を提供する能力を有しています。特に他の方法で各気筒間の違い(EGR配分等)を観ることが難しい多気筒エンジンでは、とりわけ有用なツールとなります。

 

高速リアルタイム型粒子アナライザ

Cambustionが2002年に発売したリアルタイム型微粒子粒度分布計DMS500は世界的に採用され、T(90-10%)で200msの応答性と最大10Hzの収録周期でリアルタイム粒子マスや粒子の粒度分布を測定します。世界最速のこの応答性はとりわけ、上図の測定結果に示すNRTCのような過酷なトランジェントサイクルの計測に適していると言えます。

 

フィルター式スモークメータ

Sokkenが提供するフィルター式スモークメータGSM-3GSM-3DLGSM-10EAは、ディーゼル特殊自動車8モード法および無負荷急加速黒煙の測定に対応(JISD8004)した黒煙濃度測定装置です。最新機種GSM-10EAはJISD8004規格の汚染度(%)だけでなく、ISO10054規格のFSN(Filter Smoke Number)の計測も可能なスモークメータで、加熱サンプルラインや可変吸引システムの採用で低濃度黒煙の安定した計測を実現し、研究開発の場面で活躍しています。

 

レーザ散乱式スモークメータ

Sokkenが提供するレーザ散乱式スモークメータLEX-635sは、排気中の黒煙(soot)の質量濃度を連続計測する装置です。優れた応答性(100ms)は過渡運転時の黒煙排出挙動の把握に適し、広い計測濃度範囲(0.01~1000mg/m3)を利用してDPF前後の黒煙濃度から捕集効率の評価に活用できます。

 

DPFテストシステム

Cambustionが提供するDPFのテストシステムは軽油を燃料として燃焼を制御し、煤を発生させて排気後処理装置であるDPFにロードさせます。また本システムには様々な機能があり、DPFの再生を行うこともできます。このシステムは従来のエンジンをベースとした手法に較べて大幅にコストを削減し、再現性も大きく向上しています。従来の排気後処理装置の開発環境の大半と置き換えができます。

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